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森林総合研究所関西支所研究情報 No.61 (Aug. 2001)
[研究紹介1]


竹林の利用と放置

連絡調整室 中島章文 (森林資源管理研究グループ)

我が国の竹林を形成する3大種といえばモウソウチク,マダケ,ハチクです。マダケとハチクはもともと我が国に自生していたもののようですが,モウソウチクは今から200~300年前に中国から渡ってきた帰化植物だと言われています。最近の統計資料(平成11年,林野庁)によれば,全国のモウソウチクの栽培面積は約6万5千haで,タケの全栽培面積約10万haの65%を占めています。マダケ林は全体の約22%です。

ご存じのとおりタケの用途は広く,日用品から装飾用の工芸品,居住空間を演出する建築材料など多岐にわたって利用されてきました。茶道,華道など伝統文化を支える存在としても重要です。モウソウチクタケノコは季節感あふれる旬の生鮮食品として人気があります。

我が国はタケの生育に恵まれ,竹林の多くが里山に分布しています。これは,農家の人たちが農林業資材やタケノコ栽培に利用するために,地理的に便利なところにタケを栽培してきたからです。里山の竹林は,地域住民の生活と結びついて管理・利用されてきました。ところが近年,各地でモウソウチクを中心に竹林が周囲の雑木林や造林地,畑地に侵入し,拡大する現象が見られるようになってきました。京都府山城,田辺地域では1978年~1985年の7年間に,主として自然な分布拡大により竹林面積がそれぞれ25%,70%程度増加しています1)。このように放置されている竹林の面積は生産管理されている面積の2倍以上あるものと推定されています2)。その背景には,1960年以降の燃料革命による里山を取り巻く社会・経済環境の変化により,里山に人手が入らなくなってきたことと関係があるようです。

昨年,京都市近郊のタケノコ生産地である西京区大原野地区,相楽郡山城町地区の竹林所有者約500名にアンケート調査を行ったところ(回収率52%),竹林を放置した理由(図1)については,「タケノコ・竹材の価格低迷」,「竹材の販売不振」,「タケノコ生産の重労働」,「生産者の高齢化,人手不足」という回答でした。また,回答者の所有竹林に占める放置された竹林の割合(以下「放置率」という)の高低から,放置主体型,タケノコ生産主体型,両者の中間型の3類型に分類し,それぞれの特徴を比較しました(表1)。放置率の低い所有者ほど家族労働を中心に定期的に竹林管理を行っています。一方,放置率の高い所有者ほど今後タケノコ生産を縮小・廃止しようと考えている割合が高く,これは放置竹林の増加を示唆しています。

近年,これらの放置された竹林をボランティアの力を借りて再生させたり,竹材,竹炭,タケノコを地域特産品として振興し竹林管理に連携させる取り組みが各地で行われ始めています。今後,タケを紙(和紙,高級紙)や繊維,土壌改良材等として利用する用途も広がっていくことでしょう。里山・都市近郊の身近な竹林が放置されていることから,それぞれの地域での利用可能な竹材積等を定量的に把握することが必要だと思われます。そして地域性を生かした竹材利用により竹林が放置される可能性を少しでも低くしていくことが大切です。里山・都市近郊の竹林の現状についてのデータや知見はまだまだ乏しく,今後,管理や利用の実態の解析に努めていくことが必要だと考えています。

(引用文献)

1) 鳥居厚志・井鷺裕司(1997):京都府南部地域における竹林の分布拡大,日本生態学会誌47:31-41
2) 内村税三(2001):タケ林の利用目的と管理,Bamboo Voice No.13: 2-3

[図1 竹林を放置した理由]

表1 竹林の放置率と竹林管理の特徴
タケノコ生産主体型 タケノコ生産・放置中間型 放置主体型
放置率 0% 50%未満 50%以上
該当人数 70人 12人 16人
家族中心の定期的竹林管理 85% 70% 27%
委託・雇用による竹林管理 8% 30% 20%
後継者がいる 53% 27% 20%
今後のタケノコ生産
    :現状維持  79% 55% 40%
    :縮小・廃止 21% 45% 60%

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