![]() 写真 指による定角測定(右はカウント1,左はカウントせず) (注)実際の測定は林内で行ってください |
胸高直径や林地面積を測定することなしに,ただ立木をカウントするだけで単位面積あたりの胸高断面積合計を推定する方法があります。定角測定法とよばれるこの画期的理論は,オーストリアのビッターリッヒによって1947年に考案されました。原理は難解であり,高価な測樹器具を用いる高級な手法であるというイメージがありますが,単位面積あたりの林分材積を簡便に知る手段としても役立ちます。
まずは林内の任意の位置に立ちます。林道近くなどは避け,森林内部の平均的な場所を選んだほうがよいでしょう。ヒッチハイクのように手の親指を立て腕を伸ばし,周囲の立木の胸高位置にかざします。このとき立木と自分との距離には関係なく,見かけ上自分の親指より立木が太ければ「1本」とカウント(写真右),親指と立木がピッタリ同じ太さなら「0.5本」とし,見かけ上親指より細い立木はカウントしません(写真左)。このようにして立つ位置は変えずに,水平方向にぐるりと360度回転し,順次本数を数えあげていきます。初心者は比較的過大にカウントしがちであるので,指が太いか立木が太いかをじっくりと見定めるようにして下さい。
ヘクタールあたり胸高断面積合計(m2)は,なんと驚くべきことに
カウント本数×4
というきわめて単純な式で求められます。式中「4」は断面積定数といわれる値で,腕の長さと指の幅の比によって変化しますが,ここでは簡単のため腕の長さを50cm,親指の幅を2cmと仮定しました。より良心的には,ご自分の腕の長さの25分の1が,どの指のどの部分に相当するか覚えておくとよいでしょう。筆者の場合,親指の甘皮の位置の全幅が腕の長さの25分の1です。
さて,胸高断面積合計が分かったので,次に最終目的である林分材積の推定に移りましょう。ヘクタールあたり林分材積(m3)は
胸高断面積合計(m2/ha)×平均樹高(m)×0.5
で計算されます。ここでは断面積定数を4としていますから,結局
カウント本数×平均樹高(m)×2
が林分材積になります。平均樹高は目測でこと足ります(本誌54号を参考にして下さい)。式中「0.5」という定数は,林分形数(林分の胸高形数)とよばれるものです。林分形数は胸高断面積×樹高の円柱体体積に対する幹材積の割合を示すもので,樹種・林齢・密度などの条件により異なりますが,大雑把には0.5として差し支えありません。